事例:
プレス成形シミュレーションに特化したソフトウェアを開発・販売するAutoForm(本社・スイス)は、この業界における世界的なリーディングカンパニーです。ネクスト インクは2010年、同社が販売・サポート体制を代理店経由から直接取引に切り替えるのに合わせて、日本支社とのパートナーシップを開始しました。
AutoFormが日本に参入したのは1990年代半ばのこと。競合製品より何倍も速いシミュレーション速度を武器に市場で人気を博しました。しかしそのトレードオフとして、精度の面でわずかながら競合製品に水をあけられていました。一般的に、自動車の部品設計の初期段階では、精度よりもむしろ速度が重視され、プロセスが進むに従って精度の重要度が増す傾向があります。こうした事情から、ユーザーの多くがAutoForm製品を一部のプロセスに導入しながらも、同時にその他のプロセスで他社製品を使うという状況が生まれていました。
それから十数年。AutoFormは新バージョンのリリースのたびに製品改良を重ね、速度のアドバンテージを維持しながら、他社製品と同等の精度を実現。その卓越した性能は、第三者による数々のベンチマークによっても証明されています。
問題は、この事実を日本の市場に伝えきれていなかったことです。「AutoFormは精度が低い」という、市場に根強い通念を解消すべく、私たちは2年間以上にわたってさまざまな方法でチャレンジを続けてきました。
たとえば、会社案内の新規制作、ウェブサイトの完全ローカライズ、また、専門性の高い雑誌を発行する媒体社と協力関係を築き、広告、タイアップ、記者会見、寄稿などを実施。さらには年4回発行の顧客向けニュースレターを創刊し、顧客の導入事例や製品情報を定期的に紹介するなど、AutoFormの真のアドバンテージを訴えてきたのです。
直近では、金型業界の関係者が多数来場する展示会「INTERMOLD 2013」で、AutoFormブースのデザインと運営を担当。ソフトウェアの使用方法を紹介するビデオも企画・制作し、ブースに設置したディスプレーで再生しました。
こうした種々のコミュニケーション活動により、エクスキューズが必要な時代は次第に過去のものになりつつあります。